別府駅から徒歩5分。
別府トキハから道路を挟んだ場所に、カウンター8席の小さなパワースポットがある。その人気のパワースポットを維持、管理するのはBAR556(バーココロ)代表の辻井浩一さん。
2008年にAPUを卒業後、就職した旅行会社の解散を経て、ホテルのバーテンダーに携わり、現在は別府にあるバーの経営者となっている。
今回は『自由』を追い求める辻井さんにお話を伺いました。
――お邪魔します~。何かすっきり系のカクテルをいただけますか?・・・ありがとうございます。・・・美味しい!
という事で、本日はよろしくお願いします。まず、APUに入った理由、きっかけから教えてください。
辻井: 大阪で生活してきて高校卒業後にやりたい事もなく、かと言って働きたくもなく、進路に悩んでいた時に高校の恩師が『世界は広い、色々経験した方が見聞も広がりきっと選択肢も増える』と、半分が国際学生・半分が日本人学生のAPUを教えてくれたのがきっかけです。
―― APUに入って、広い世界・見聞の広がりなどを実感した事はありますか?
生まれてからずっと東大阪に住んでいましたが、土地柄、韓国・中国の方たちがご近所さんにたくさんいました。でもあまり接点を持つことが無かった。それが、APUで多くの中国人・韓国人の友人が出来た事で、ただのご近所さんという認識から大きく存在を感じる事が出来ました。英語のクラスで仲良くなった中国人の親友とは、今も月1回釣りに行ったりしていますよ。
―― APUに通いながら暮らす4年間で、印象的な思い出はありますか?
辻井:原付バイクに乗り、下界からAPUの授業に向かう前に友人と別府の温泉に入り、それから授業を受けてカフェテリアでご飯を食べ、ジムに行ってから友人宅でゲームすると言う毎日が今でも印象に残っています。人生で1番自由で楽しかった印象が残っている毎日でした。
今でもAPUで過ごした友人達が月に1度は店に顔を出してくれます。そんな時は少し早く店を閉めてご飯に行ったり、温泉に行ったりしています。僕も友人達も、卒業した後でもいつまでも『自由だな〜フットワークが軽くてAPU生らしいな』と感じています。
―― なぜ地元の大阪を離れて別府での生活を選んだのですか?
辻井:話すと本当に色々あり長ーくなるのですが、APUを卒業した後、地元大阪の旅行会社に営業職として就職しましたが3年目に会社が解散となりました。『頑張っても会社って無くなるんや』と思いました。
また、付き合っていた彼女との別れも重なりダブルパンチで、家族とも友人とも誰とも会いたくないと1年以上、引き篭もりになりました。体重も20キロ以上増えました。そんな僕を心配した家族の紹介で近所のスポーツジムに行く事になりそこで出会ったヨガの先生から【自分の心を大切にしながら、自由にゆっくりのんびり楽しみながら生きましょう】
と教わりこのままじゃ良くないなと思い、親からお金を借りて地元の大阪を離れ再出発に、楽しい想い出のあった別府まで1人帰ってきました。
この過去の経験が店名の【こころ】の由来です。
―― 別府に帰ってきてから、どのように今に至ったのですか?
辻井:別府に辿り着いたのですが、家も仕事も決まっていませんでした。
そこで、まずは家を借りようと不動産屋に行くと『家を借りるには仕事が必要』だと言われその日は家を借りる事が出来ませんでした。
実家のある大阪に帰る事も考えましたが、『それだとまた引き篭もりになる。焦らず、自由にのんびり心のままに』とまずはバスでAPUのカフェテリアで大好きだった茄子の揚げ出しと唐揚げチリソースのハーフを食べました。
その後、缶コーヒー片手に食堂横のWAVEの階段から別府の町並みや海を眺めながら、人生の進路を考えました。
①雇われる人生だとまた会社が解散するかもしれないから、自分で何か始める。
②自分の好きな事、得意な事で生活出来るようにする。
ただ、自分で始めるにもどうすれば良いか分からないからまずは少し経験しようと、①と②を軸に別府観光港の近くのネットカフェで仕事を探しました。
その結果、別府市内のホテルでバーテンダーの募集がありしかも寮まである所を見つけ、早速面接に行きました。
その後採用され、また色々ありましたが決めていた3年間が過ぎ貯めたお金で独立、開業し経営者となりました。
そして嬉しい事に、『APU20周年の記念カクテルを創って欲しい』とご依頼を頂き、APUの成人をお祝いするカクテルもお披露目する事が出来ました。
―― 仕事&家の両方を叶えるとは、その時の辻井さんからすると願ったり叶ったりの求人でしたね。元々、お酒が好きだったのですか?あとカクテルのお代わりをください。
お酒は好きでしたね。後は人と話す事が好きでした。なので今思うと、バーテンダーという仕事は自分に合っていたんだなぁと思います。後は・・・別府だと、大阪と違ってバーの絶対数も少ないので、何とかやっていけるんじゃないかという思いもありました(笑)
―― 様々な経緯を経て、バーの経営者という立場になられたかと思いますが、APUでの経験が生きた事はありますか?
カクテルってとても自由なものなんです。お酒の種類も何百種類もあって、自由な発想で作る事が出来る。APUでの経験も、世界中の人たちと遊び・勉強・プレゼン等のチームワークも含めて、色々なこと自由にやっていたもので、発想力を広く持つ事が出来るようになった事は、APUから今に生きる財産だと思いますね。
経営者になって改めて感じた事は、APUに出会えて良かった事です。
APUを卒業した今でも世界中から別府に、同級生や先輩方、職員や先生、そして後輩である在校生や在校生の保護者の方までもが顔を見せに来てくれる世界一フレンドリーでアットホームなバーになりました。
―― 仕事以外で、社会人としても別府に住んでいて良かったと思う事はありますか?
海も山もあり、温泉もあり自然豊か。大阪より人が少なくて居心地が良い、美味しいものもある。社会人として住む別府も、APU時代と変わらず最高ですよ!
―― ぜひ、APU生をはじめ、別府以外に住む校友も集う場所として、さらに発展して行かれる事を期待しています!APU生向けのサービスなどあれば教えてください。
まさに、BAR556は「APU下界店」と言っても過言でないかもしれません。オープンから4年、APUへのささやかな恩返しとして、在校生達には毎週火曜日と土曜日の夜は、APU Nightと銘打ちBAR556のカクテル(2杯目から)ワンコイン500円で提供しています。
―― では最後に、この記事を読んでいるAPU現役生に一言コメントをお願いします!そしてお会計もお願いします!
APUだからこそ、「悩んでも何とかなる、どこかの場所に固執する事が無い」という事を肌で感じられると思います。もし東京でダメなら、福岡でも大分でも、中国でもアメリカでも、あなたが輝けるフィールドは世界中にある。
もし悩んでいたら、一旦別府に帰ってきて、そしてBAR556で悩みを話してもらえたらと思います。
【 BAR556 】
大分県別府市北浜1-15-11愛媛屋ビル1階
営業時間:19:00 - LAST
※事前のご連絡で23:30以降のご飲食も可能です。
ご予約/お問合せ:
Instagram→ @bar556inbeppu
編集後記:
筆者も、先日初めて訪問したBAR556ですが、初めてとは思えないどこか懐かしい空気を感じました。きっと十文字原と繋がっているのでしょう・・・。とても引き籠っていた事が想像できない辻井さんの雰囲気は、APU校友生の憩いの場となっていく事は間違いないかと思います。ぜひ、これを読んでいただいた方は、次回別府へ帰る際、お酒を飲める方も飲めない方もBAR556へ足を運んでみてください。
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