第5回目の校友紹介は、鹿児島県在住の肥後玄十(ヒゴ ゲント)さん。
天空際でドラムが聴こえてくる方向を見ると、妙な被り物を被った肥後さんが気持ちよさそうに叩いている。いつもニコニコフワフワしている印象の肥後さんでしたが、ドラムの前に座った時だけはキリッと男前になっていて、別人かなと何度も見返し驚いたのを覚えています。
今何をしているんだろう?と思っているところに、肥後さんのSNS上に立派なハマグリの写真が投稿、そして次にトウモロコシ・・・え、この人、何業?と卒業後またしても筆者を何度も見返させる肥後さん。
今回はそんな肥後さんのお話を皆さんにお届けすることで、皆さんにたくさんの元気をお届けできればと思います。
――肥後さん(以下、筆者がいつも呼ぶ「げんつ」で記載)取材させて?
げんつ: すごく面白い企画だね!APUはほんと個性的な人材が集まる学校だから、卒業後も個性的でいいのだなと今だから思えるわ。あの頃はなんとなく会社に勤めなきゃって狭い枠しか見えてなかった気がする・・・ということで、引き受けましょう!自分の話そこまで面白くないけど・・・
――ありがとう!まずは、APUに通っていた時期と、力を入れて取り組んでいたことを教えてもらえる?
げんつ: 2003年春入学、2007年秋卒業!APUでは1年の秋から始めたドラムにハマっていました!いや、むしろドラムが俺にハマってくれました(笑)午後から起きてドラムやって、メンバーの家で飲んだくれて明け方寝る・・・そんな生活を続けていましたね(笑)
そのおかげで留学したわけでもないのに1年の時の単位は半年分しかとれず、気づいたら皆先に卒業していた(笑)当時は絶対1年は卒業が遅れると言われたので、2年以降の単位取得の追い上げは我ながら凄かったと思います・・・。
――皆学生時代はそんな感じだったよね(笑)それにしても、1年の時に単位が半年分しか取れてないのは逆にすごいね(苦笑)だから、2年目以降学内でげんつをよく見かけたんだっていう謎が今解けた。卒業後は、今まで何していたの?
げんつ:卒業後はずっと家業の農業法人で働いている!
最初は農業なんてする気なかったけど、卒業時期が中途半端でなかなか就活も進まず・・・とりあえず実家の仕事でも手伝うかって感じで帰ってきてからずーっと。本当は先生になりたかったのだけどね・・。
――あら。何の先生?なんでなりたかったの?
げんつ: 英語の先生。理由は、中学の時の野球部の監督がかっこよかったから(笑)
自分がAPU在学中の時はまだ小学校で英語科目が必須になろうとしている頃で、通信で小学校英語講師の資格は取ったのよ。でもなんだかんだ、先生に再トライするタイミングを逃してしまった感じかな。けど、縁あって今の仕事の中で、中高生の前で農業について話をする機会が度々あるから、その時だけは子供達にとって自分が先生なわけで、違う形だけど夢が叶ったのかもしれないなと思ったりしている。
――もしかしたら、げんつはかっこいいからとか英語を教えたいからとかいう前に、根本「誰かに何かを教え伝える仕事」をしたいと思っていたのかもしれないね!
最終的になんで農業を仕事に選んだの?
げんつ: 小学生の頃から長期休みになると必ず手伝わされていて、農業だけは絶対将来やらない!って思っていたの。でもある時、当時大学4年生だった女の子が大阪からうちにインターンシップで農業研修に来て、その子に一目惚れしたんよ(笑)
そして農業に興味を持ったその子に好かれようと、農業嫌いだった自分も必死に農業を勉強。2週間しかない研修期間中に交際をスタートさせて、無事その子と結婚しました!!
――おめでとう。愛の力は絶大だね(笑)
げんつ: 今や農業にも嫁にもどっぷりハマっちゃっている!(笑)
実際やってみると、こんなに良くも悪くも毎日毎週毎月毎年、変化を楽しめる仕事は農業だけだと思う!
例えばトウモロコシの場合、髭が焦げ茶色になった頃が収穫のサインで、昨日の朝見た時は全然色がのってなかったのに、たった一日晴れただけで、こんなに色が乗ったの!?てことがあったりするし、悪い話でいうと、害虫がいることに気づいていたけど、忙しいことを理由に対策をサボってしまっていたら、翌日かなりの被害にあったりもする。
手をかけたらかけた分だけ、サボったらサボった分だけの結果が、本当にそのまま収穫物として出てくるから、失敗も成功もちゃんと結果として目に見えるところが本当に面白いと思う。
――本当に誤魔化しが聞かない仕事だね。それを面白いと捉えられるところが、なんだかんだげんつにとって農業が天職だったのじゃないかって思うわ。
仕事をする上で気を付けていることとかあるの?
げんつ: 自分は、栽培管理・従業員の管理・出荷作業・取引先対応を担当しているのだけど、どんなに忙しくても「最後は自分の目で商品を確かめること」これだけは強くこだわってやっている。
ここ数年、ドローンで薬剤散布とか無人トラクターとか農業も機械化が進んで、だいぶ楽にはなったけど、最後はやっぱり自分の手や目で確かめないと自信を持って生産した物を世に送り出せないと思うから、この先、いくら機械化が進んでもそこだけは外したくないと思っている。じゃないと下手したら「生産者は私です!」じゃなくて、「生産者はこのロボットです!」なんて時代がきてしまうからね(笑)
――「生産者はこのロボットです!」(笑)本当にそんな時代がやってきそう・・。
コロナ禍での状況はどうなの?
げんつ: 基本的には、ほとんど飲食店様向けに直接卸していたのだけど、このコロナのおかげでかなりの打撃が・・・(汗)
昨年3月の一番ハマグリがおいしい時期に、緊急事態宣言が出てハマグリがほとんど売れなくなってさ。ものすごく困っていた時にかなり助けてくれたのが学生時代の友人たちだったのだよ。特に、APU時代の友人には、携帯に登録しているほとんどの人に声かけさせてもらって、ほぼ押し売りだったのだけど(笑)有難いことに皆嫌な顔ひとつせず購入してくれたのだよ。更にそこから、皆の会社の方々やご家族とかにまで広めてくれて・・・本当に助かりました。あなたもその一人で、インスタでの広報活動を勧めてくれなかったら、あそこまで売れなかったと思う、マジで!
――え、そうなの?微力ながらご協力できていたみたいでよかった!
げんつ: 実はあの時、会社の売り上げ目標金額を上回れた上に、そのうち8割くらいは自分の売り上げだったから、本当に皆には感謝です。
世の中、色んな人がいるけど、何かあった時、思い切って素直に相談すれば意外とみんな素直に答えてくれるのだってつくづく実感しました!
――なんか、学生時代に卒業を遅らせてまでして飲み歩いた成果がここで出てきたね(笑)
げんつ: 確かに!飲み会・留年・ドラム活動、すべてが無駄ではなかったことがここで証明される!!(笑)
――ハマグリとかトウモロコシとか食べ物の話を聞いていたら、お腹が空いてきたのだけど・・APU生へのサービスとか何かある?
げんつ:「APU生です」と伝えてくれれば何かしらサービスします!
あと、うちまでバイトしに来てくれれば、タダでハマグリ・トウモロコシ・落花生・さつまいもを召し上がって下さい!
そして帰りにうちのスタンドで給油してくれればいいです!(笑)
――ほんとに?ものすごい大盤振る舞いだ・・私もバイトしに行こうかな(笑)
さてさて、今日はたくさん語ってもらいましたが、最後にこれを読んでくれている後輩たちに一言どうぞ!
げんつ: まずは、これは譲れない!っていうのがあれば親の反対を押し切ってでも、留年・留学・浪人・恋愛・バイトなんでもいいから後悔しない道を選んで下さい。やらないで後悔するよりやって後悔する方がいいと思います。私の大好きなケツメイシもそう言っています(笑)
そして、その後悔しない道の中でもたくさんの人と知り合って下さい。
あなたが目標の途中だったり諦めそうな時、困った時、そういえばあんな奴がいたなとか、あの人に声かけてみたらどうかな?とか必ずあなたの助けになってくれる人が出てきます。素直に相談すれば人間、意外と相談に乗ってくれます(笑)そしてその人がまた色んな人に声をかけてくれて、遠回りでも目標に近づいていくものです。
美味しいトウモロコシが食べたいとか砂無しハマグリが食べたいといった目標があればそれこそその時はうちに来て下さい(笑)
社会人になったらやれないことがたくさん出てきます。人生一度なのでやらないで後悔よりやって後悔です!では、楽しい学生生活を!
<情報>
株式会社シーアグジャパン
HP:http://www.sea-ag.com/profile.html
オンラインショッピングサイト:https://seaag.base.shop/
【編集後記】
その時は意味がないように感じることでも、長い人生の中、実はその繋がりや経験がどこかで活きてくる。無駄なことは何もない。そんなことを感じさせる肥後さんのお話でしたね。
実は、「九州で頑張る人たちをもっともっと共有して、応援して、逆に元気をもらって、皆で一緒にがんばっていける、九州ユニットのサイトを立ち上げたい」と思い始めたきっかけは、肥後さんからのコロナ禍での連絡だったのです。
肥後さんとの何気ない繋がりが、この活動にも活かされてきているのですね。
APU時代の繋がり、今後も深く大切にしていきたいものです!
(インタビュアー:福岡校友会 高﨑 江里奈)
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